Friday, October 13, 2006

ジョン・ケージ

ジョン・ケージ
全般的なジョン・ケージ像を提供してくれているかもしれない、と期待したけど、違った。13分間ほどのバイオグラフィの後、ケージの死後、三週間くらい後にフランクフルトで行われたケージ生誕80周年記念のコンサートを収録したものだった。
CH.2は「プリペアド・ピアノと室内管弦楽のための協奏曲 (Concerto for Prepared Piano and Chamber Orchestra)」 (1951)
CH.3は「ピアノと管弦楽のためのコンサート (Concert for Piano and Orchestra)」 (1957-58)
生きて演奏しているチュードアを見たのは初めてではなかろうか。

とりあえず、批判を二つ。
chanceの説明の後にこの二曲を持ってくるのは間違えていると思う。ch.2では「偶然性」は用いられていないし、ch.3は、偶然性というより不確定性のための作品につなげて説明すべき作品だから。
「1950以前のsilence」と「chance = 趣味・嗜好・思考の制限を抜けるためのもの」を一緒に説明するのは間違えていると思う。

椎名りょうすけの解説は面白い。1750年に音楽美学が誕生し、芸術音楽のための芸術音楽(=絶対音楽)が生まれた、という説明はどうかとも思うけど、確かに、ケージが否定したのは、作曲家が聴衆とコミュニケーションをとるために作った作品としての音楽であって、「音楽」を否定したわけではない。だから、聴衆に、聴くことによって、プロセスとしての音楽を作り出す努力を強いねばならないので、ケージ以後の作曲家たちはある種の難しさを持つ。うまいこというなあ。


ケージ概観のためにこれを丸まる一本見せてもいいかな、と思ったけど、これでは躊躇してしまう。
少人数なら良かったかもしれないけど。
どっしよっかな。良い経験だから、見せても良いかもしれないけど、見てくれるかな。

No comments: