Friday, February 16, 2007

Thompson, Emily. "Wiring the World"

Thompson, Emily. "Wiring the World: Acoustical Engineers and the Empire of Sound in the Motion Picture Industry, 1927-1930." Hearing Cultures Essays on Sound, Listening and Modernity. Ed. Veit Erlmann. Oxford: Berg, 2004: 191-209.
sound picturesの簡単な歴史

sound pictures伝播において(US内とUS外)sound engineersが果たした役割の簡単なスケッチ

テクノロジーが(人種的な)優越性、近代性の感覚をもたらしたこと等々
ある種の均質性、グローバリズムの推進に一役買った(sound filmは、第一次世界大戦後という時代的にも、ヨーロッパ映画ではなくハリウッド映画の世界制覇の一助となった)

言語の問題
サイレント・フィルム:パントマイムという国際的な言語を使用していた
サウンド・ピクチュア:「言語」を経由するので国家主義を後押しすることになった、各国映画が「盛ん」になった

実証主義的で、でも枠組みがしっかりしていて、幾つかの面白いトピックを掘り起こしてくれていて、面白い。
この人の論文には些少なデータがたくさん含まれるので、ちょっとしんどかったりするけど、とても歴史学者だなあ、と思うのであった。
sound pictureの発展史はthe soundscape of modernityの中のsurveyを簡潔にしたもの。Davisで聞いた話とは違って、sound pictureの中でもengineerが主役のお話。
sound pictureは新しいテクノロジーであるがゆえに近代性を表象するものとなり、帝国主義的な動きの一つとなったが、しかし同時に、「言語の問題」をもたらすものであったがゆえに、国家主義的な(多様な)映画をもたらすことになった、というお話。
と、一文でまとめてしまえる(気になる)のがこの人の論文の良いところ。
とりあえずは、僕の、sound pictureの発展史を理解するための教科書として使おう。映画学の文献に色々あるんだろうけど、この人のほうが、幅が広がる(僕は「映画学」に興味があるわけではないので)。

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