Sunday, February 11, 2007

岡田暁生『西洋音楽史』

岡田暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏』
ものすごい新書だった。
「西洋音楽史」というよりも「『西洋音楽史』に関する本」。
でもメタ西洋音楽史ではなくて、「西洋音楽史」を理解するための本。
「西洋音楽史」の読み方が分からなかった人間(=僕)をフォローしてくれる本。何が分からなくて何がつまらないか分からなかった学部時代にこれを読んでればずいぶん変わったろうと思う。と、今さら言っても仕方ない。
自分が研究者として欠落しているものが色々見えてきて落ち込んでくる。教養主義の没落と人文学の没落は同じではないことを肝に銘じておこうと思うのであった。
これを「西洋音楽史に親しむこと自体が難しかった境遇」からのルサンチマンにすりかえないこと。

二十世紀後半の音楽史風景を「三つの道の併走」(221) - 前衛音楽、巨匠の名演、ポピュラー音楽 -として読む、というのは、最後の最後に少し出てくるだけだけど、なんとも励まされる興味深い話だと思う。今後の仕事のフォローをしていこうと思いました。

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